「もう限界かもしれない。休みたい」——そう感じている先生に、まず伝えたいことがあります。
休職は「逃げ」でも「失敗」でもありません。心と体を守るための、正当な権利です。
この記事では、教員が休職を検討する際に知っておきたい手続きの流れ、休職中の過ごし方、そして「復職か転職か」の判断基準について解説します。
教員が休職できる条件と期間
公立学校の教員(地方公務員)が病気で働けなくなった場合、多くの自治体では「病気休暇」と「病気休職」の2段階で休みます。日数や給与の扱いは自治体の条例・規則で決まっているため、必ず勤務先の自治体の規定を確認してください。
- 病気休暇:まず取得する短期の休み。連続90日程度までとする自治体が多く、有給扱いとする自治体が多い(日数・扱いは自治体により異なります)
- 病気休職:病気休暇でも回復が見込めない場合に移行する長期の休み。多くの自治体で3年以内とされ、休職中は給与が減額される自治体が多い(自治体により異なります)
私立学校の場合は各学校の就業規則によって異なりますので、まず人事・事務担当者に確認しましょう。
教員が休職するまでの手順|受診・診断書から申請まで
STEP 1|医療機関を受診する
まず精神科・心療内科を受診し、現在の状態を医師に診てもらいます。「仕事を休む必要がある」と判断された場合、医師から「診断書」を発行してもらいます。この診断書が休職申請に必要な書類です。
「病院に行くほどじゃないかも」と思っても、まず話を聞いてもらうだけでも構いません。早めに受診することが大切です。
STEP 2|管理職(校長・教頭)に報告する
診断書を持って、校長または教頭に休職の意向を伝えます。この時点でつらさを正直に話すことが大切です。「迷惑をかけたくない」という気持ちから状態を過小申告してしまうと、必要な配慮が受けられなくなることがあります。
STEP 3|所定の手続きを行う
公立教員の場合は教育委員会への届け出が必要になります。学校の事務担当者が手続きをサポートしてくれることが多いので、一人で抱え込まず確認しましょう。提出する書類(診断書の様式、休職願など)や提出先は、自治体・学校によって異なります。まずは管理職か事務担当者に「必要書類の一覧」を確認しましょう。
休職中のお金|給与と傷病手当金の考え方
休職を考えるとき、多くの先生が一番不安になるのがお金のことです。休職中の収入は、「勤務先から出る給与」と「共済組合などから出る傷病手当金」の2つに分けて考えると整理しやすくなります。
- 給与:病気休暇中は支給され、病気休職に入ると減額(例:一定期間は8割)される自治体が多くあります。割合や期間は自治体によって異なります。
- 傷病手当金:公立教員は共済組合、私立教員は私学共済など、加入している制度から、給与が出ない・減額される期間に支給される場合があります。支給額は標準報酬日額のおおむね3分の2が目安ですが、支給条件や期間は加入先の規定によります。
- ボーナス・昇給:休職期間によって支給額や昇給の扱いが変わることがあります。
給与が支給されている期間は、傷病手当金が調整(減額・不支給)されることがあるため、「給与と傷病手当金を単純に足した額がもらえる」とは限りません。具体的な金額は、勤務先の事務担当者または加入している共済組合に確認してください。
教員の休職中の過ごし方|時期別にやること
前半(1〜2ヶ月):とにかく休む
休職初期は「何もしない」が正解です。罪悪感を感じながらも、まずは睡眠・食事・散歩などで体の回復を最優先にしましょう。この時期に「早く復帰しなければ」と焦ることが、回復を遅らせる最大の原因です。
中盤(2〜4ヶ月):自分と向き合う
体の疲れが取れてきたら、「なぜ追い詰められたのか」「自分は本当は何をしたいのか」を、ゆっくり考えてみましょう。日記を書く、カウンセリングを受ける、キャリア相談をしてみるなど、自己理解を深める時間として活用できます。
後半(4ヶ月〜):次のステップを考える
「復職するか、転職するか」を焦らず考える時期です。医師やカウンセラーの意見も聞きながら、自分にとって無理のない選択を探していきましょう。
「復職か転職か」の判断基準
休職中に多くの先生が直面するのが、「復職して教員を続けるか、転職して新しい道を歩むか」という問いです。どちらが正解ということはありませんが、判断の参考になる視点を紹介します。
復職を選ぶ目安
- 「教えること」自体は好きで、環境や職場さえ変われば続けられると感じる
- 異動(学校・学年・担当の変更)によって状況が改善する見通しがある
- 医師から「復職可能」の判断が出ており、体力的にも問題ない
転職を検討する目安
- 「教員という仕事そのもの」に疲れを感じており、環境が変わっても続ける自信がない
- 休職前から「辞めたい」という気持ちがあり、今もその気持ちが続いている
- 別の仕事・働き方にチャレンジしてみたいという気持ちが出てきた
どちらかを選んだとしても、「それが唯一の正解」ではありません。復職してみてやっぱり無理だと感じたら転職という選択もできますし、転職活動中に教員に戻りたくなることもあります。焦らず、一歩ずつ考えていきましょう。
復職したあと、またつらくなったら
復職後に再び体調を崩してしまう先生もいます。再休職できるかどうか、前回の休職期間と通算されるかどうかは自治体の規定によって異なるため、早めに主治医と管理職、事務担当者に相談しましょう。大切なのは、休職に至った原因(業務量・人間関係・担任業務など)が復職後に変わる見込みがあるかを確認することです。見込みが持てないときは、転職を選択肢に加えて考えても構いません。教員から転職するときの全体像は教員から転職するには|転職先と全手順のガイド、第三者と整理する方法は教員がキャリアコーチングを受けた体験談と効果で解説しています。
休職中・病気休暇中に転職活動をしてもいいの?「禁止」と言われる理由と注意点
「休職中に転職活動をするのはダメなのでは?」と不安になる先生は少なくありません。結論として、転職活動そのものを一律に禁じる法律上の制限はありません(就業規則で副業禁止の規定があっても、情報収集や応募・面接といった転職活動は、通常これに該当しません)。ただし、いくつか確認しておきたい点があります。
確認しておきたい3つの注意点
- 休職中も教員の身分は続いている:公立教員の場合、休職中も在職しています。アルバイトや副業(兼業)は別の扱いになり、許可が必要なことがあるため、転職活動と混同せず、勤務先の規定を確認しましょう。
- 傷病手当金への影響:傷病手当金は「働けない状態であること」が前提の制度です。就労や、それに近い活動をどう扱うかは加入先(共済組合・私学共済など)の規定によって異なるため、面接や就業を始める前に事務担当者または共済組合へ確認してください。
- 療養を妨げない範囲で:主治医が「回復途上」と判断している時期の転職活動は、症状を長引かせることがあります。始める時期や活動量は主治医とも相談しましょう。
休職中にできること・待ったほうがいいこと
体調が安定してきた段階では、「できること」から小さく始めるのが現実的です。たとえば、自分が教員を辞めたいのか、環境を変えたいのかを整理する、業界や職種の情報収集をする、キャリア相談を受ける、といった活動は負担が小さく、復職・転職どちらの判断にも役立ちます。一方で、応募書類の大量作成や連日の面接など、負荷の高い活動は、日常生活のリズムが戻ってからで十分です。
「休職中にキャリア相談だけしてみる」というスタートで構いません。復職か転職かの判断材料を集める位置づけで、焦らず進めてください。
休職と自己都合退職の違いは?迷ったときの考え方
「休職するか、このまま辞めるか」で迷う先生は少なくありません。休職は雇用関係を維持したまま休む制度で、退職は雇用関係を終えることです。そのため、給与や共済・社会保険の扱い、復職の可否、退職後の手続きなどが変わる可能性があります。扱いは自治体・学校(私立は就業規則)で異なるため、決める前に所属先の担当窓口へ確認しましょう。
- 体調を回復させることが最優先なら、まず休職(または病気休暇)で休む選択肢があります
- 休職中に気持ちが整理できれば、復職・転職・退職のどれも選べます
- 勢いで退職を決める前に、休職中・退職後の収入や手続きを確認しておくと安心です
休職中に転職を考えるときの確認点は教員が休職中に転職を考えてもいい?確認すべきことと、無理なく進める考え方、在職中の転職活動のルールは教員は転職活動してもいい?禁止の誤解と、職場に知られず進める注意点、退職の流れは教員が辞めるときの手続き・流れで解説しています。
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よくある質問(FAQ)
Q. 教員の休職中の過ごし方はどうすればいいですか?
休職初期(1〜2ヶ月)は「何もしない」ことが最優先です。休職の多くは心身の疲弊が原因であるため、まず十分な睡眠・食事・休養を取ることが回復の第一歩です。中期(2〜4ヶ月)になったら、軽い散歩・読書・趣味など、少しずつ生活リズムを整えていきます。後期(4ヶ月以降)は「復職か転職か」を考え始め、必要に応じてキャリアコーチングや転職相談を活用します。
Q. 教員の休職中に転職活動はしてもいいですか?
法律上は問題ありません。ただし、心身の状態が回復していない状態での転職活動はおすすめしません。休職から3〜4ヶ月後、日常生活に支障がなくなった段階で、情報収集から始めることを推奨します。また、休職中の転職活動は「元気になってから動く」ことが、転職後の後悔を防ぐポイントです。
Q. 教員が休職できる期間と、休職中の給料はどうなりますか?
公立学校の教員は、病気休暇(連続90日程度までとする自治体が多い)の後、病気休職に移行でき、多くの自治体で3年以内とされています(地方公務員法に基づき、期間は条例などで定められるため自治体により異なります)。給与は、病気休職に入ると減額(例:一定期間は8割)される自治体が多く、あわせて共済組合から傷病手当金が支給される場合があります。私立学校の場合は就業規則や私学共済の規定によって異なるため、学校の総務・人事に確認が必要です。
Q. 休職した教員はその後どうなりますか?
休職した教員の選択肢は①復職、②退職・転職、③退職後しばらく様子を見るの3つです。復職する方も多くいますが、同じ環境に戻ることで再び体調を崩すケースもあります。「なぜ休職に至ったか」の根本原因を整理した上で、環境を変える(校種変更・転職)ことも重要な選択肢です。
Q. 教員の「病気休暇」と「休職」の違いは何ですか?
病気休暇は短期間の療養のための休みで、有給とする自治体が多い制度です。病気休暇の期間内に回復しない場合に、より長期の「病気休職」に移行するのが一般的な流れです。日数、給与の扱い、必要書類は自治体によって異なるため、勤務先の規定を確認してください。
Q. 休職に必要な診断書は、誰に書いてもらえばよいですか?
通院している精神科・心療内科などの主治医に依頼します。診断書は校長や教頭を通じて提出するのが一般的ですが、様式や提出先は自治体・学校によって異なります。事務担当者に確認すると確実です。
Q. 傷病手当金はいつからもらえますか?
公立教員は共済組合、私立教員は私学共済などの制度から、給与が支給されない、または減額される期間に支給される場合があります。支給の開始時期・金額・期間は加入先の規定と給与の支給状況によって決まるため、事務担当者か共済組合に確認しましょう。
Q. 復職したあとに、また休職することはできますか?
再休職できるかどうか、前回の休職期間と通算されるかどうかは自治体の規定によります。つらさが戻ってきたと感じたら、我慢せずに早めに主治医と管理職に相談してください。環境を変える選択肢として、転職を考えるのも一つの方法です。
Q. 休職中に転職活動をすると、傷病手当金はもらえなくなりますか?
一律に「もらえなくなる」とは言えず、加入先(共済組合・私学共済など)の規定や活動の内容によって扱いが異なります。情報収集や相談だけであれば影響が小さい場合もありますが、面接や就業に進む前に、必ず事務担当者または共済組合に確認してください。
まとめ
- 休職は「病気休暇(連続90日程度までとする自治体が多い)→病気休職(多くの自治体で3年以内)」の流れ。日数と給与は自治体により異なる
- まず受診→診断書取得→管理職に報告、の順で進める
- 休職中は前半に休み、中盤から自己理解、後半に進路を考える
- 「復職か転職か」は焦らず、医師・専門家の意見も聞きながら判断する
「休職中だけど、今後のキャリアについて誰かと話したい」という先生のために、先生キャリアコーチでは無料相談を受け付けています。在職中・休職中問わず、まず話すだけでも歓迎です。
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