結論:教員の退職は、一般に「校長(管理職)への相談→退職願の提出→教育委員会などの手続き」という順で進みます。ただし、提出期限・様式・年度途中の扱いは自治体や任用形態(公立・私立・臨時的任用など)で異なります。まずは勤務先の規程や教育委員会の案内で確認してください。
「退職したいけど、手続きが複雑そうで不安…」「いつまでに何をすればいい?」
教員の退職手続きは、一般的なサラリーマンと異なる部分が多く、知らないまま進めると不利益を被るケースもあります。この記事では、退職を決意した教員が取るべき手順・必要書類・注意点を時系列でわかりやすく解説します。
結論:教員の退職は「年度末(3月31日)退職を目安に、数か月前に校長へ口頭で相談 → 退職願・退職届 → 引き継ぎ → 退職後の保険・年金手続き」の順に進めます。公立は任命権者の承認が必要で、期限や書式は自治体で異なるため、必ず所属先の事務担当に確認してください。
教員が退職を決意したら最初にすること
まず「退職の意思」を固める
退職手続きを進める前に、「本当に辞めるのか」という意思をしっかり固めることが大切です。雰囲気で話を切り出して後から撤回すると、職場の信頼を大きく損ないます。
自分の中で以下を明確にしておきましょう。
- 退職理由(転職・家庭の事情・体調不良など)
- 希望する退職時期
- 退職後の見通し(転職先・生活設計など)
退職のタイミングを確認する
教員の退職は、原則として年度末(3月31日付)が最も一般的です。子どもたちへの影響が少なく、学校の運営にも支障が出にくいため、管理職からも受け入れられやすいタイミングです。
ただし、やむを得ない事情(体調不良・家族の介護・転職先の入社日など)がある場合は、年度途中での退職も可能です。年度途中の退職については、別記事「教員が年度途中に退職するのはアリ?」も参考にしてください。
教員が辞めるまでの全体スケジュール
教員の退職は年度末(3月31日)に合わせるのが基本です。年度途中の退職も可能ですが、後任・クラス担任の引き継ぎ等で学校側に大きな負担がかかるため、可能な限り年度末を目指しましょう。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 退職の6ヶ月前 | 管理職(校長)に退職の意向を伝える(口頭で相談) |
| 退職の3〜4ヶ月前 | 退職届を提出/後任・業務の引き継ぎ計画作成 |
| 退職の1〜2ヶ月前 | 引き継ぎ書の作成・各種手続きの確認 |
| 退職前日まで | 物品・鍵の返却、書類整理、関係者への挨拶 |
| 退職日 | 退職辞令の交付・在職証明書の受け取り |
| 退職後1ヶ月以内 | 健康保険・年金・失業給付の手続き |
STEP1:校長への退職意向の申し出
まず最初にすることは、校長(管理職)への口頭での相談です。いきなり退職届を提出するのではなく、まず「来年度末で退職を考えています」と意向を伝えます。
申し出のタイミング
- 年度末退職の場合:9〜10月頃(次年度の人員配置に影響するため)
- 年度途中退職の場合:できるだけ早め(最低でも2〜3ヶ月前)
伝え方のポイント
- 「一身上の都合」で問題ありませんが、理由を聞かれた場合は「家庭の事情」「新たなことに挑戦したい」など簡潔に答える
- 引き止められても「意思は固まっています」と毅然と伝える
- 「考え直してほしい」と言われてもその場で返答せず「後日改めてご連絡します」と時間をもらう
STEP2:退職届の提出
口頭での意向確認後、正式な退職届(退職願)を提出します。公立教員の場合は、任命権者(都道府県・政令市の教育委員会)への辞職願が必要です。
退職届の書き方
学校や自治体によって書式が定められている場合があります。まず事務担当者や総務に「退職届の様式はありますか?」と確認しましょう。
書式がない場合の基本項目:
- 提出先(校長名宛)
- 退職希望日
- 退職理由(一身上の都合)
- 提出日・署名・捺印
公立教員の場合の特殊な流れ
公立学校教員は地方公務員のため、退職の正式な承認は任命権者(教育委員会)が行います。退職届は校長→教育委員会というルートで提出されます。退職日が正式決定するまで2〜3ヶ月かかるケースもあるため、早めの申し出が重要です。
STEP3:引き継ぎの準備
後任の先生や同僚が困らないよう、丁寧な引き継ぎが必要です。
引き継ぎ書に含めるべき内容
- 担当クラス・生徒の情報(特に配慮が必要な生徒)
- 授業計画・年間行事の進行状況
- 保護者との関係性(要対応の案件)
- 部活・委員会の運営情報
- 定期業務の手順(成績処理・出欠管理など)
- 使用している教材・ファイルの保管場所
引き継ぎは「相手が読んでわかる」ことを意識して作成します。口頭での引き継ぎも組み合わせると安心です。
STEP4:退職後の手続き(社会保険・年金・失業給付)
健康保険の手続き
退職後は以下のいずれかを選びます。
- 任意継続:退職後2年間、退職前と同じ保険を継続(保険料は自己負担になる)
- 国民健康保険:市区町村の国保に加入(退職後14日以内に手続き)
- 家族の扶養に入る:収入条件を満たせば配偶者や親の扶養に入れる
※公立教員は共済組合(教員共済)に加入しているため、任意継続は共済組合への申請になります。
年金の手続き
- 公立教員:共済年金→厚生年金(2015年以降は統一)。転職先が決まっていれば新しい会社で加入手続き
- 転職先未定の場合:市区町村窓口で国民年金への切り替え手続き(14日以内)
失業給付(雇用保険)の手続き
公立教員は雇用保険の対象外のため、一般的な失業給付は受けられません。ただし自治体によっては独自の「退職者への支援制度」がある場合も。退職前に人事・総務に確認しましょう。
私立学校教員は雇用保険に加入しているため、一般の会社員と同様にハローワークで失業給付の手続きができます。
STEP5:子ども・保護者への挨拶と退職当日の対応
子どもや保護者への挨拶
いつ・どのように子どもや保護者に伝えるかは、学校側の判断に委ねるのが原則です。担任として「早く伝えたい」気持ちはわかりますが、勝手に動くと混乱を招くこともあります。
- 管理職と「いつ・どう伝えるか」を事前に相談する
- 保護者への連絡は学校から行う場合が多い
- 子どもへの告知は、できるだけ退職日に近いタイミングで(早すぎると不安定になる子もいる)
退職当日の対応
退職日(最終出勤日)には、以下を行います。
- 職員への挨拶(朝礼や終礼のタイミングで)
- 学校備品・教材の返却(校務用PC・教科書・鍵類など)
- 退職辞令の受け取り(教育委員会から交付)
- 離職票・源泉徴収票の受け取り(転職活動・失業給付に必要)
- 健康保険の切り替え確認(国保 or 転職先の健保)
退職金について
教員の退職金は在職年数によって大きく異なります。
退職金(退職手当)の額は、勤続年数、退職理由(自己都合か定年・勧奨か)、給料月額などをもとに、自治体の条例で計算されます。そのため「勤続○年なら○万円」と一律にはいえず、特に勤続年数が短い場合は支給額が少ない、または支給されないケースもあります。正確な金額は、所属先の事務担当者や自治体の退職手当の規程で確認しましょう。自己都合退職の場合の考え方は教員が自己都合で辞めたら退職金はどうなる?で詳しく解説しています。
支給時期も自治体によって異なります。事務担当者に確認してください。
退職時に受け取る書類チェックリスト
- □ 退職辞令(辞令書):退職の公式書類。大切に保管
- □ 在職証明書:転職先・各種手続きで必要になる場合あり
- □ 源泉徴収票:年末調整・確定申告で必要(退職年の1月1日〜退職日分)
- □ 共済組合員証(返却):退職日に返却
- □ 基礎年金番号が分かる書類(基礎年金番号通知書など。年金手帳は2022年に廃止されています):加入記録の確認用
退職を決める前に確認したいこと
「まだ辞めると決めきれない」という場合は、先に整理しておくと後悔を減らせます。在職中の転職活動のルールは教員は転職活動してもいい?、休職という選択肢は教員の休職手続き完全ガイド、転職を決めた後の後悔を避ける視点は教員が転職して後悔した理由TOP5が参考になります。退職の進め方や転職の方向性に迷うときは、無料のキャリア相談で一緒に整理することもできます。
公立と私立で退職手続きはどう違う?
公立学校の教員は、学校の判断だけで退職が決まるわけではなく、教育委員会の手続きを経て退職の発令が行われるのが一般的です。校長が退職願を取りまとめて教育委員会へ進める流れが多いものの、書式や提出の締め切りは自治体ごとに異なります。
私立学校の場合は、学校法人の就業規則や学校ごとの規程に沿って進みます。退職の申し出の時期や提出先が学校ごとに違うため、就業規則を確認し、管理職に相談する形が基本です。
| 確認する点 | 公立の場合 | 私立の場合 |
|---|---|---|
| 手続きの根拠 | 自治体の規則・教育委員会の案内 | 学校法人の就業規則 |
| 最初の相談先 | 校長・教頭 | 校長・理事長・事務の担当者 |
| 書類 | 退職願(自治体指定の様式の場合あり) | 退職願・退職届(学校の様式に従う) |
| 退職日 | 教育委員会の承認・発令による | 学校との合意・規程による |
教員は年度途中でも退職できる?
年度途中の退職自体は、一律に認められる・認められないと言い切れるものではありません。公立の場合は教育委員会の承認が必要で、後任の手配や引き継ぎの時間も必要になるため、希望する退職日の相当前に管理職へ相談するのが現実的です。心身の不調で働くのが難しい場合は、先に病気休暇や休職を使う選択肢もあります。休職の手続きは教員の休職手続きの流れで整理しています。
病気休暇の取り方や診断書の準備については、教員の病気休暇の取り方|診断書・伝え方・休暇中の過ごし方で解説しています。
退職願と退職届の違い、書き方のポイント
一般に、退職願は「退職したい」とお願いする書類、退職届は「退職します」と届け出る書類です。自治体や学校が指定する様式がある場合があるため、自己流で作る前に管理職や事務の担当者に様式を確認してください。
- 文体は丁寧に統一し、退職の理由は「一身上の都合」とするのが一般的です
- 退職希望日は、管理職と相談して決めた日付を記載します
- 宛先・提出先は自治体・学校の指示に従います
- 提出前にコピーや写真で控えを残しておくと安心です
退職前後の保険・年金の切り替えチェックリスト
退職すると、勤務先を通じて加入していた健康保険や年金の区分が変わります。公立学校の教職員は共済組合に加入しているのが一般的で、退職に伴い組合員証などの返却が必要になる場合があります。詳細は所属の共済組合の案内で確認してください。
- 健康保険:国民健康保険に加入するか、家族の扶養に入るか、再就職先の健康保険に入るかを決める
- 年金:再就職までの期間は国民年金への切り替え手続きが必要になる場合がある
- 雇用保険(失業給付):離職票が必要。受給の条件や手続きはハローワークで確認する
- 住民税:退職時期によって納付方法が変わる場合があるため、勤務先・市区町村に確認する
- 退職金:請求手続きや支給時期は自治体・学校の規程で確認する(退職金の記事も参考にしてください)
休職中・病気休暇のあとに退職する場合の流れ
休職中でも、退職を選ぶことはできます。ただし、休職中の給与や手当の扱い、退職日を決めるタイミングによって、受け取れるお金が変わる場合があります。退職日を決める前に、勤務先と共済組合に確認することをおすすめします。復職か退職かで迷うときは、教員から転職するにはもあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 年度途中に辞めることはできますか?
A. 法的には可能です。ただし公立教員は「任命権者の承認」が必要で、学校への影響も大きいため、退職日については管理職と十分に話し合うことが重要です。緊急の事情(健康上の理由等)がある場合は遠慮なく相談しましょう。
Q. 退職を引き止められた場合はどうすれば?
A. 「意思は固まっています。ご迷惑をおかけしますが、退職させてください」と穏やかかつ明確に伝えることが重要です。感情的にならず、しかし意思の強さを示すことがポイントです。
Q. 有給休暇は消化できますか?
A. 取得可能です。退職前に残った有給を使う権利はありますが、学校の状況上、全日取得が難しい場合もあります。事前に総務・事務担当に相談し、可能な範囲での消化を目指しましょう。
Q. 退職後すぐに転職先が決まっていない場合は?
A. 健康保険・年金の切り替えを退職後14日以内に行いましょう。生活費の見通しも立てておくと安心です。転職活動中は転職エージェントを活用すると効率よく進められます。
Q. 退職代行を使ってもいい?
教員の場合、「言い出せない」「引き止められそう」という理由で退職代行を検討する方もいます。退職代行は法的に問題なく利用できますが、学校・子どもへの影響を最小限にするためにも、できれば自分で管理職に伝えることをおすすめします。
どうしても自分で言えない事情がある場合は、退職代行サービスも選択肢として検討してください。
Q. 教員が退職したら、どんな手続きが必要ですか?
主に、退職願の提出、引き継ぎ、貸与物の返却、保険と年金の切り替え、離職票や源泉徴収票などの書類の受け取り、退職金の手続きが必要です。時期や方法は自治体・学校で異なるため、管理職や事務の担当者に確認してください。
Q. 休職したあとに退職する場合はどうすればいいですか?
休職中でも退職の意思を管理職に伝え、退職願を提出する流れは基本的に同じです。ただし、給与や手当の扱いは状況によって変わるため、退職日を決める前に共済組合などへ確認してください。
Q. 退職願はいつまでに出せばいいですか?
期限は自治体や学校の規程で異なります。希望する退職日の相当前に、まず管理職へ口頭で相談するのが一般的です。
まとめ
教員の退職は、①早めの意向申し出→②退職届の提出→③丁寧な引き継ぎ→④退職後の各種手続きという流れで進めることが基本です。
特に公立教員は一般企業と異なる点が多いため(共済組合・任命権者への承認など)、不明な点は早めに学校事務担当者や教育委員会に確認しておきましょう。
「退職を考えているが、次のキャリアについても不安」という方は、先生キャリアコーチの無料体験セッションで一緒に整理しましょう。退職の決断から転職先の選定まで、現役教員プロコーチがサポートします。

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