「教員は転職活動をしてはいけないのでは?」
「公務員だから、在職中に転職サイトへ登録したら問題になる?」
「面接を受けていることが学校に知られたら、処分される?」
教員から民間企業などへの転職を考え始めたとき、こうした不安を感じる方は少なくありません。特に公立学校の教員は地方公務員であり、一般企業の会社員とは異なる服務上のルールがあるため、「転職活動そのものが禁止されている」と思い込んでしまいがちです。
しかし、在職中に転職先を探すことと、現在の職務を離れて別の仕事に従事することは別の話です。この記事では、教員が転職活動を始める前に知っておきたいルールと注意点、職場に知られにくく進めるための基本を整理します。
結論:教員の転職活動そのものは禁止ではない
在職中の教員が転職先を探したり、求人に応募したりすること自体を、教員だからという理由だけで一律に禁止するルールがあるわけではありません。大切なのは「転職活動」と「転職先で働き始めること」を分けて考えることです。
たとえば、勤務時間外に次のような活動をすることは、通常の転職活動の範囲と考えられます。
- 転職サイトに登録する、求人情報を調べる
- 企業のホームページを見る、キャリア相談を受ける
- 企業に応募し、面接の日程を調整する
- 休日や年次有給休暇を利用して面接を受ける
一方で、公立学校の教員には地方公務員法上の職務専念義務があり、勤務時間中は職務に専念することが求められます。また、報酬を得る仕事や営利企業への従事には、任命権者の許可が必要になる場合があります。
つまり、「転職活動は禁止」ではなく、「在職中の立場を守りながら進める必要がある」と理解するのが適切です。
教員が注意すべき服務上のポイント
勤務時間中に転職活動をしない
最も基本的なのは、転職活動を勤務時間外に行うことです。授業の合間に転職サイトを見たり、勤務時間中に転職エージェントと面談したりするのは避けましょう。「少しだけなら」と考えず、仕事と転職活動は完全に切り分けるのがおすすめです。
学校のパソコン・メールを使わない
転職活動には、個人のスマートフォンやパソコン、個人のメールアドレスを使いましょう。学校の情報機器は業務のためのものです。応募書類や職務経歴書の個人情報を、勤務先の端末やアカウントに保存する必要もありません。
転職活動と副業・兼業は別物
転職候補先から「週末だけ手伝ってほしい」「業務委託で仕事をしてほしい」と提案された場合は注意が必要です。報酬が発生する場合は兼業の扱いになる可能性があるため、自己判断せず、所属自治体の規程や任命権者の許可が必要かを確認してください。
私立学校は勤務先の規程を確認する
私立学校の教員は、公立学校と同じルールがそのまま適用されるわけではありません。学校法人の就業規則や雇用契約によって、退職の申し出時期や兼業の扱いが異なります。就業規則や人事担当者への確認を優先しましょう。
転職活動が職場に知られやすい5つの落とし穴
「退職を決めるまでは、職場に知られたくない」と考える方も多いでしょう。そのためには、特別な方法よりも基本的な情報管理が大切です。
1. 学校のパソコンで求人を見る
学校のICT環境は仕事のためのものです。転職活動は自分の端末で行うのが基本です。
2. 学校のメールアドレスを登録する
連絡先には個人のメールアドレスを使いましょう。学校のアドレスだと通知を他の人に見られる可能性があり、退職後は使えなくなる可能性もあります。
3. 同僚に早い段階で話す
相談したくなる気持ちは自然ですが、「まだ転職するか決めていない」段階で広く話すと、意図しない形で情報が伝わることがあります。相談相手は慎重に選びましょう。
4. SNSに転職活動のことを書く
面接や退職の予定をSNSに投稿すると、思わぬところから勤務先に伝わる可能性があります。進路が決まっていない段階では、公開範囲を慎重に考えましょう。
5. 面接日程を不自然に調整する
平日の昼間にしか面接できない企業もあります。勤務時間外やオンラインの面接を相談し、難しい場合は年次有給休暇などで調整します。急な欠勤や不自然な中抜けが続かないよう、早めにスケジュールを考えておくことが大切です。
在職中に進める転職活動の流れ
転職活動は「辞める」と決めてから始める必要はありません。今の仕事を続けながら情報収集することで、焦って転職先を決めることを防げます。
STEP1:情報収集をする
転職サイトや企業のホームページを見ながら、「何がしたいのか」「教員経験をどんな仕事に活かせるのか」「どんな働き方なら納得できるか」を考えます。この段階では応募する必要はありません。
STEP2:自分の経験を整理する
授業や研修の設計、保護者・生徒・同僚とのコミュニケーション、学年や分掌でのチーム運営、学校行事の企画運営など、教員として当たり前にやってきたことが民間企業で価値になる場合があります。ただし「教員経験があるから必ず評価される」と考えず、応募先の仕事でどう活かせるかまで整理しましょう。面接で聞かれやすい内容は教員から転職する人の面接対策で確認できます。
STEP3:興味のある仕事を実際に知る
求人を見るだけでなく、企業説明会やカジュアル面談、実際に働く人の話を通じて、仕事内容を具体的に知る方法もあります。動き出す時期に迷う場合は教員が転職するタイミングはいつ?も参考にしてください。
STEP4:応募・面接へ進む
現在の仕事をきちんと続けながら進めるのが基本です。転職先が決まる前に、勤務先へ退職の意思を伝える必要があるとは限りません。
STEP5:内定後に退職手続きを進める
転職先が決まったら、勤務先に退職の意思を伝えて手続きを進めます。公立学校の場合、退職時期や書類、提出先は自治体・教育委員会によって異なります。詳しい流れは教員が辞めるときの手続き・流れを参照してください。
面接・有休・引き継ぎはどう調整する?
まずは勤務時間外の面接を相談する
企業によっては、オンラインで夕方以降に面接を設定できる場合があります。「在職中のため平日の日中は時間を取りにくい」と伝えることは珍しいことではありません。可能な時間帯を提示して相談してみましょう。
必要なら年次有給休暇を利用する
どうしても勤務時間内にしか面接できない場合は、年次有給休暇を利用する方法があります。ただし、学校の勤務体制や休暇取得のルールに従う必要があります。
退職を決めたら引き継ぎを考える
大切なのは、退職日まで責任を持って仕事をし、必要な引き継ぎを行うことです。担任、校務分掌、部活動など担当業務を整理しておくと、退職時の負担も小さくなります。
不安なときは「体験して選ぶ」キャリア相談
ここまで読んでも、「そもそも本当に転職したいのか分からない」「教員以外の仕事をしたことがなく、比較できない」という方もいるでしょう。転職活動で最初に必要なのは、応募することではなく、選択肢を知って自分で比較できる状態をつくることかもしれません。
先生キャリアコーチでは「体験して選ぶ」という考え方を大切にしています。コーチングで考えを整理するだけでなく、メンタリング、元教員との面談、キャリアダイブなどを通じて、教員以外の仕事や働き方を知る機会をつくっています。
代表の森川陸自身も、中学校教員を経験した後、スタートアップを経て独立しました。現在はCPCC認定コーチとして、教員のキャリア相談に取り組んでいます。まだ転職するか決めていない段階でも構いません。気になる方は、無料のキャリア相談で今の状況を話してみてください。
教員の転職活動に関するよくある質問
Q1. 公立学校の教員が転職サイトに登録するのは禁止ですか?
転職サイトへの登録自体を禁止する共通のルールがあるわけではありません。ただし、勤務時間中の活動は職務専念義務との関係で注意が必要です。自治体や学校のルールが関係する場合もあるため、所属先の規程を確認してください。
Q2. 転職活動をしていることが学校に知られたら処分されますか?
転職活動をしているという事実だけで直ちに処分されると考えるのは適切ではありません。一方で、勤務時間中に職務以外の活動をしたり、許可なく報酬を得る仕事をしたりすれば、別の問題になります。「転職活動そのもの」と「転職活動中の行為」は分けて考えましょう。
Q3. 転職活動は学校に言わなくてもいいですか?
転職活動を始めた段階で報告が必要とは一律には言えません。ただし、退職の意思が固まった後は、勤務先のルールに従って適切な時期に申し出る必要があります。
Q4. 面接で平日に休む場合はどうすればいいですか?
可能であれば、勤務時間外や休日、オンライン面接を企業に相談しましょう。難しい場合は年次有給休暇などで調整し、授業や校務に影響が出ないよう余裕を持って日程を組むことが大切です。
Q5. 転職するか決めていなくてもキャリア相談を受けていいですか?
問題ありません。「辞めたい」と決める前に、何に悩んでいて、どんな選択肢があるのかを整理することには意味があります。教員を続ける選択肢も含めて考えてみましょう。
休職中の転職活動については教員が休職中に転職を考えてもいい?、休職の制度面は教員の休職手続き完全ガイドで解説しています。
まとめ:ルールを守って、落ち着いて進める
教員の転職活動は、「公務員だから禁止されている」と考える必要はありません。重要なのは、転職活動そのものと、在職中の職務・服務上のルールを分けて考えることです。
- 転職活動そのものが一律に禁止されているわけではない
- 勤務時間中は現在の職務に専念し、学校のパソコン・メールは使わない
- 報酬を得る副業・兼業は別途ルールを確認する
- 面接は勤務時間外や有給休暇などで調整する
- 退職時期や手続きは自治体・教育委員会・学校法人のルールを確認する
「やっぱり教員を続けたい」と決めるのも立派なキャリア選択です。一人で悩み続けず、まずは自分の考えを言葉にするところから始めてみてください。
在宅勤務の仕事に関心がある方はこちらもどうぞ:教員からリモートワークへ転職

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